史記より「鴻門之会④/豎子、与に謀るに足らず(沛公已出~)」について解説をしていきます。
長かった「鴻門之会(鴻門の会)」のお話も、いよいよ終わりです。
それぞれの陣営の思惑を、読み取ってみてください。
この記事では
・書き下し文(読み仮名付き)
・品詞分解(語句の意味/解説)
・現代語訳
が理解できます。
「鴻門之会④/豎子、与に謀るに足らず(沛公已出~)」現代語訳・解説
今回のお話に入る前に、これまでの「鴻門の会」をおさらいしておきましょう。
これまでのお話
鴻門で開かれた項王と沛公(劉邦)の酒宴。
表向きは友好的な会談でしたが、裏では范増の指示により項荘が剣舞を装って沛公を討とうとしていました。
その危機を察した張良は、軍門の外にいた樊噲に急報します。
沛公の危機を知った樊噲は剣と盾を持って強引に中へ突入し、項王をにらみつけて対峙しました。
一触即発の空気の中で、張良が樊噲を紹介すると、項王は「勇ましい男だ」として大量の酒や生肉を与えます。
樊噲はそれを豪快に飲み食いしながらも、
「沛公は略奪をせず礼を守った。それなのに功績ある者を罪人のように扱うのは、亡びた秦と同じことだ」と項王を諫めました。
この言葉に項王は反論できず、ただ「座れ」と告げるのみでした。
やがて沛公は便所に行くふりをして席を立ち、樊噲を呼んでそのまま宴席を抜け出していきました。
今回のお話のあらすじ
沛公は宴の席を抜け出したが、項王が陳平を使者として呼び戻そうとした。沛公は迷ったが、樊噲に「今は挨拶など気にしている場合ではない」と促され、そのまま立ち去った。そして張良を残して謝罪させることにし、白璧と玉斗を項王と范増への贈り物として託した。
沛公は護衛の数人とともに抜け道を通り、無事に自軍へ戻った。張良は沛公の指示どおり、彼が軍に到着する頃を見計らって宴席に入り、謝罪の言葉と贈り物を伝えた。項王は白璧を受け取って脇に置いたが、范増は玉斗を受け取り、怒りを示してこれを壊し、「天下を奪うのは沛公に違いない」と嘆いた。
沛公は軍に戻ると、裏切りの原因を作った曹無傷をただちに殺した。

ではここからは、実際の本文を品詞分解・現代語訳しながら読んでいきます。
登場人物の行動や言葉の意味に注目して、詳しく見ていきましょう。
書き下し文(読み仮名付き)・品詞分解・現代語訳
沛公已に出づ。
沛公はすでに酒宴の席を出た。
語句 | 意味 |
沛公 | 人名。劉邦のこと。 |
已 | すでに、とっくに |
出 | (酒宴の席を)出る |

沛公はトイレに行くふりをして席を立ち、酒宴の場から脱出することに成功したんでしたね。
項王 都尉 陳平をして沛公を召さしむ。
項王は都尉陳平に、沛公を呼びに行かせた。
語句 | 意味 |
項王 | 人名。項羽のことを指す。 |
都尉 | 官職名。軍事を担当。 |
陳平 | 軍師。この時は項王に仕えていたが、後に劉邦(沛公)に仕え支えることになる。 |
~をして…しむ | 【使役】~に…させる |
召す | 呼び寄せる、呼びつける |
沛公曰はく、「今者出づるに、未だ辞せざるなり。
沛公が言うことには、「いま酒宴の席を出てきたが、まだ(項王に)別れを告げていない。
語句 | 意味 |
今者 | 今 |
未だ~ず | 【再読文字】まだ~ない |
辞 | 別れを告げて去る |
之を為すこと奈何せん」と。
これをどうしたらよいか。」と。
語句 | 意味 |
之 | 項王に別れを告げること |
為すこと | すること |
奈何せん | 【疑問】どうしようか |

沛公は「項王に挨拶もしないで黙って出て来ちゃったけど、いいのかな…」と気にしているのですね。
樊噲曰はく、「大行は細謹を顧みず、大礼は小讓を辞せず。
樊噲が言います。「大きなことを成すためには些細なことに配慮して気にかけませんし、大いなる儀礼の前では小さな謙り合いなど問題ではありません。
語句 | 意味 |
樊噲 | 人名。沛公の護衛。 |
大行 | 大きなこと |
細謹 | 些細なことに配慮すること |
顧みる | 気にかける |
大礼 | 国の重大な儀式 |
小讓 | 小さな譲り合い |
辞せず | 問題にしない |
如今、人は方に刀俎たり、我は魚肉たり。
いま現在、相手はちょうど包丁とまな板であり、我々は魚と肉のようなものです。
語句 | 意味 |
如今 | いま現在 |
人 | ここでは項王側の人を指す |
方に | まさに、ちょうど |
刀俎 | 包丁とまな板 |
我 | ここでは沛公たちを指す |
魚肉 | まな板の上に置かれた魚と肉のこと |
何ぞ辞せんや」と。
どうして別れを告げることがありましょうか。いやしない。」と。
語句 | 意味 |
何~為 | 【反語】どうして~するだろうか、いや~しない |
この部分については、あとの「ポイント」の部分で確認しましょう。
是に於いて遂に去る。
こういうわけでそのまま(酒宴の場から)立ち去った。
語句 | 意味 |
是に於いて | こういうわけで |
遂 | そのまま、そして |
去 | 立ち去る |
乃ち張良をして留まり謝せしむ。
そこで張良を後に残して謝罪をさせることにした。
語句 | 意味 |
乃ち | そこで |
張良 | 人名。沛公の参謀。鴻門の会に同席していた。 |
~をして…せしむ | 【使役】~に…させる |
留まる | あとに残る |
謝す | 謝罪する |
良問ひて曰はく、「大王来たるとき、何をか操れる」と。
張良は尋ねて言いました。「大王(=沛公)はここに来るとき、何を(土産として)持ってきましたか。」と。
語句 | 意味 |
良 | 人名。張良のこと |
問ふ | 尋ねる |
大王 | 君主のこと。ここでは張良の主人である沛公を指す |
来たる | 来た |
操る | 持つ |
曰はく、「我 白璧一双を持し、項王に献ぜんと欲し、玉斗一双をば、亜父に与へんと欲せしも、其の怒りに会ひて敢へて献ぜず。
(沛公が)言うことには「私は白璧一双を持ち、項王に献上しようとし、玉斗一双を亜父に与えようとしたが、その怒りにあって無理に献上しなかった。
語句 | 意味 |
我 | 沛公自身を指す |
白璧 | 白色の美しい宝石 |
一双 | 一対 |
持す | 持つ |
項王 | 人名。項羽のことを指す。 |
献ず | 献上する |
欲 | ~しようとする |
玉斗 | 翡翠でできた柄杓 |
亜父 | 父に次いで尊敬する人のこと。ここでは項王の参謀を指す。 |
与ふ | 与える |
其の怒り | 項王側の対応を指す。実際には項王は怒りをあらわにしていないので、実際には亜父の様子を指していると考えられる。 |
敢へて~ず | 無理に~しない |

これは沛公のセリフだと言うことは、しっかりおさえましょうね。

もともと沛公は項王へ謝罪に来たわけですから、お詫びの品を持参していたのですね。

「でも酒宴の席ではあんな感じになっちゃったから、なかなか渡すタイミングがなかったんだ…」といった感じですね。
公 我が為に之を献ぜよ」と。
お前が私のためにこれを献上せよ。」と。
語句 | 意味 |
公 | あなた ※ここでは部下なので「お前」と訳した(張良を指す) |
我 | 私(沛公自身を指す) |
之 | 沛公が持参してきていた白璧一双と玉斗一双を指す |

ここでは「あなた」ではなく「お前」という訳し方にしました。
しかし、沛公が張良を信頼してまかせていることが「公」という表現から伝わる気がします。
張良曰はく、「謹みて諾す」と。
張良が言いました。「謹んでお受けします。」と。
語句 | 意味 |
謹みて | 謹んで(恭しくかしこまること。沛公に対して畏れ敬う気持ちを表す) |
諾す | 引き受ける |
是の時に当たりて、項王の軍は鴻門の下に在り、沛公の軍は霸上に在り、相去ること四十里なり。
この時、項王の軍は鴻門のもとにあり、沛公の軍は霸上にあって、互いの(陣営の)距離は四十里ほどでした。
語句 | 意味 |
是の時に当たりて | この時 |
鴻門の下 | 地名。現在の西安市の東にある。 |
霸上 | 地名。霸水の周辺にある。現在の西安の東のはずれを流れる川のこと。 |
相去る | お互いに離れる→距離がある |
四十里 | 当時の中国では一里=0.4kmなので、40里=16km |
沛公則ち車騎を置き、身を脱して独り騎し、樊噲・夏侯嬰・靳彊・紀信等四人の剣盾を持して歩走するものと、酈山の下より、芷陽に道して間行す。
沛公はそこで馬車と騎兵を置いて、抜け出して一人で馬に乗り、樊噲・夏侯嬰・靳彊・紀信ら四人は剣と盾を持って歩いて進み、酈山のふもとから、芷陽への抜け道を通って行きました。
語句 | 意味 |
則ち | そこで |
車騎 | 馬車と騎馬 |
置き | 置く |
身を脱して | 抜け出す |
騎す | 馬に乗る |
夏侯嬰 | 人名。沛公の武将。沛公と出身が同じで、慕っていた。 |
靳彊 | 人名。沛公軍の一員。 |
紀信 | 人名。沛公に仕えた武将。 |
剣盾 | 剣と盾 |
歩走 | 歩いて進む |
酈山 | 山の名前。現在の西安市の東にある。 |
芷陽 | 地名。現在の西安市灞橋区にあった。 |
間行す | 抜け道を行く |

沛公は自分は馬に乗り、部下四人は剣と盾を持ってエッホエッホと歩いていったんですね。
しかも鴻門の会に来た時には、100人くらいの兵を引き連れて来ていたはずですよね…?

ここでは、その兵のうち樊噲など四人の精鋭だけが、共に帰ったということになります。
沛公 張良に謂ひて曰はく、「此の道より吾が軍に至るは、二十里に過ぎざるのみ。
沛公が張良に言うことには、「この道から我が軍に至るには、二十里を超えないだけだ。(=たった二十里ほどだ)」
語句 | 意味 |
謂ひて曰はく | (~に向かって)言うことには ※言う相手がいることを表している |
此の道 | 芷陽への抜け道 |
吾が軍 | 沛公軍がある場所(覇上)を指す |
二十里 | 当時の中国では一里=0.4kmなので、20里=8km |
過ぎざる | 超過しない |
のみ(耳) | ~だけ |
我の軍中に至るを度り、公乃ち入れ」と。
私が軍の中に到着する頃合いを見計らって、お前はそこで(酒宴の席に)入れ。」と。
語句 | 意味 |
我 | 私。沛公を指す。 |
軍中 | 軍の中(覇上にある自軍を指す) |
至る | 到着する |
度り | 頃合いを見計らう |
公 | あなた ※部下なので「お前」と訳した(張良を指す) |
乃ち | そこで |
沛公 已に去り、間くして軍中に至る。
沛公はすでに(その場を)立ち去り、しばらくして(自分の)軍の中に到着した。
語句 | 意味 |
去る | 立ち去る |
間くして | しばらくして |

8kmの距離を歩いて進むと、2時間半くらいかかるそうです。

その間、よくバレずにいましたね…
張良入りて謝して曰はく、「沛公 桮杓に勝へず、辞する能はず。
張良は(酒宴の席に)入って謝罪して言うことには、「沛公は酒を飲むことに耐えられず(=酒に酔ってこれ以上飲むことができず)、別れを告げて去ることができません。
語句 | 意味 |
謝して | 謝罪して |
桮杓 | 酒を飲むこと |
勝へず | 耐えられない |
辞する | 別れを告げて去る |
能はず | ~できない |
謹みて臣良をして白璧一双を奉じ、再拝して大王の足下に献じ、玉斗一双をば、再拝して大将軍の足下に奉ぜしむ。」と。
謹んで私 張良に白璧一対をささげ、二度の礼をもって大王(項王)のお足もとに献上し、玉斗一対を二度の礼をもって大将軍(范増)のお足もとに献上しなさい(と言われて参りました)」と。
語句 | 意味 |
謹みて | 謹んで(恭しくかしこまること。項王に対して畏れ敬う気持ちを表す) |
臣良 | (家臣である)私、張良 |
~をして…せしむ | ~に…させる |
奉じ | ささげる |
再拝 | 礼を二度繰り返すこと |
大王 | 君主、王のこと。ここでは項王(項羽)を指す |
足下 | 足もと |
大将軍 | 軍の総大将のこと。ここでは范増を指す |

身分の高い人へ献上するときは、両手でささげ、ひざまずいて頭を下げるといった作法が一般的でした。また、「再拝」は、二度礼を繰り返すことを言い、丁寧な態度を示す動作です。

張良の言葉を言いかえると、「沛公が酔っぱらって自分ではきちんと挨拶できないというので、私に『持って来ていた献上品もお渡しして、大王様と大将軍様に、とにかく礼を尽くしてご挨拶して来なさいよ』と命じたのです」という感じですね。
項王曰はく、「沛公安くにか在る。」と。
項王が言うことには、「沛公はどこにいるのか。」と。
語句 | 意味 |
安くにか | 【疑問】どこに~ |
在る | いる |
良曰はく、「大王 之を督過するに意有りと聞き、身を脱して独り去れり。
張良が言うことには、「大王様が沛公の過ちをおとがめになる意志があると聞き、(沛公はこの場を)脱け出して一人で立ち去りました。
語句 | 意味 |
之 | これ(物や人を指すが、ここでは沛公を指している) |
督過する | 過ちをとがめる ※ここでは沛公が秦を破ってからの行動を指すと考える。樊噲がその行動の正当性を訴えたが、「分かった、許す」などの表現はなかった。 |
意有り | ~したい気持ちがある、意志がある |
身を脱す | 抜け出す |
独り | 一人 |
去れり | 「去る」(立ち去る)已然形+完了の「り」 |
已に軍に至らん。」と。
すでに軍に到着したでしょう。」と。

実は気になることがありまして…

なんでしょうか?

沛公がトイレに行くふりをして立ち去った後、項王は陳平に沛公を呼びに行かせていますよね?あれって、それほど時間は経っていないと思うんです。
それなのに沛公たちが自軍に着くまでの間、なぜ何も起きなかったのでしょうか?

そうですね、出入り口には項王軍の門番もいたでしょうし、こっそりだとしてもかなり無理がある展開ですね…
ここでは「完全に史実のままを表現したわけではない」とし、物語として読み取るのがいいかもしれません。
項王則ち璧を受け、之を坐上に置く。
そこで項王は白璧一双を受け取り、これを座席の側に置きました。
語句 | 意味 |
項王 | 人名。項羽のことを指す。 |
則ち | それほど経っていないだろうタイミングで |
璧 | 張良が献上した白璧一双を指す |
受け | 受け取る |
之 | 張良が献上した白璧一双を指す |
坐上 | 席の上 |
亜父玉斗を受け、之を地に置き、剣を抜き撞きて之を破りて曰はく、
亜父(范増)は玉斗一双を受け取り、これを地面に置き、剣を抜いて、突いてこれを打ち砕いて言うことには、
語句 | 意味 |
亜父 | 范増を指す |
之 | 張良が献上した玉斗一双を指す |
地 | 地面 |
撞く | 細長いもので突く |
之 | 張良が献上した玉斗一双を指す |
破る | 打ち砕く |
「唉、豎子与に謀るに足らず。
「あぁ、青二才め、ともに計画するのに十分でない。
語句 | 意味 |
唉 | 【詠嘆】あぁ |
豎子 | 青二才、小僧 |
与に | ~と一緒に |
謀る | くわだてる、計画する ※ここでは天下を取るために計画を立てることを指す。 |
足らず | 十分でない |
項王の天下を奪ふ者は、必ず沛公ならん。
項王の天下を奪う者は、きっと沛公だろう。
語句 | 意味 |
必ず~ん | きっと~だろう |
吾が属 今に之が虜と為らん。」と。
我々は近いうちに彼(=沛公)の捕虜となるだろう。」と。
語句 | 意味 |
吾 | 私 ※ここでは范増個人ではなく、范増自身を含む項王軍のみんなのことを言っている |
属 | 仲間 |
今に | 近いうちに |
之 | 沛公を指す |
虜 | 捕虜 |
為らん | ~なるだろう |

「之が」の「が」は、「~の」と訳すのは大丈夫ですね?
沛公軍に至り、立ちどころに曹無傷を誅殺す。
沛公は軍にたどり着くと、即座に曹無傷を殺した。
語句 | 意味 |
立ちどころに | すぐに |
曹無傷 | 人名。沛公の部下。項王側に密告し、沛公を危機に追い込んだ |
誅殺 | 罪を理由に殺すこと |
以上が今回のお話になります。
では、ポイントを確認していきましょう。
ポイント
A. 「大きな事を行うときは、小さな礼儀や気遣いにこだわる必要はない。大きな儀式・重大な決断の前では、些細な別れの挨拶など問題ではない」という意味。
- 細謹(さいきん):些細なことに配慮すること
- 小讓(しょうじょう):小さな譲り合い・礼儀のこと
→ 沛公が項王に対して行う別れの挨拶を指す
- 大行(たいこう)…大きな事
- 大礼(たいれい)…国の重大な儀式のこと
→ 命の安全や戦略上の重要な行動、すなわち天下を左右する大事を指す
樊噲の言葉には、「小さな礼儀にこだわって時間を浪費するより、命を守り天下を取るという大事を優先してほしい」という意図がある。
A. 圧倒的に不利な立場を示す比喩である。意味は「相手にすべてを握られており、抵抗できない状態」ということ。
※日本語にも「まな板の上の鯉」という言葉がある。これは、鯉がまな板の上に置かれて逃げ場がなく、成り行きに任せるしかない様子を表すことわざである。したがって、「包丁とまな板、魚と肉」と「まな板の上の鯉」は、どちらも自分の運命を相手に握られている無力な立場を示す点で共通している。
樊噲はこの言葉を用いて、沛公に形式的な挨拶に迷う暇はなく、まず自分の身を安全に守ることを優先して行動せよと強く諫めた。
A. 沛公が自軍に到着した頃合いを見計らうことで、項王軍が追おうとしても間に合わない状況を作るため。→ 沛公の身の安全を確保するため
A.
- 項王:何事もなく、献上品を受け取る→ 沛公と和解したので問題ない
- 范増:玉斗を剣で突いて壊す → 沛公が脱出したことへの強い怒り
「唉、豎子~」※詳細は次の「?」にて
→ 沛公を討てなかった後悔、怒り、項王の天下が奪われることへの嘆き
A. 「豎子」は項王を指す。
「青二才め、ともに大事を謀るに足らない」という意味。
宴席で沛公を討つ絶好の機会に決断できず、情に流されて逃がした項王の甘さを批判し、項王とは天下を目指す大事業を成し遂げられないと思った。
※別解※
項荘を指す。
酒宴の席で、沛公を討つことに失敗した項荘を責めている。
「項荘は、項王様の天下のために共に計画して成し遂げる相手ではない」と言っている、という解釈もある。
A. 曹無傷が項王側に密告し、沛公を危機に追い込んだため。その責任を取らせ、再び裏切りが起こらないようにした。
曹無傷の行動のせいで、沛公は項王の怒りを買うことになった。
沛公は誰がそのようなことを吹き込んだのか分からなかったが、項王から曹無傷であったことを聞かされた。

曹無傷はバレないと思っていたんでしょうかね~

沛公が生きて帰ってくることを、想定しないなかったという可能性もあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は史記より「鴻門之会④/豎子、与に謀るに足らず(沛公已出~)」を解説しました。
酒宴の席を脱した沛公。その後、家臣たちのおかげで無事に自軍に戻ることができました。
時間の流れを見ると、不自然さを感じた方もいるかもしれませんね。
そこは完全な史実とは思わずに、まずは物語として味わってみて欲しいです。
前回に引き続き、それぞれの陣営の思惑がよく分かる内容となっていました。
みなさんはどのように感じましたか?
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