あらすじ書いて終わりは卒業!高校生のための読書感想文の書き方

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はじめに

「作品は決まったけれど、原稿用紙を前にすると何から書き始めていいか分からない……」
「読書感想文なんて、意味のない面倒な課題だ」

そんな風に思っていませんか?

前回の記事で「おすすめの作品」をご紹介しましたが、今回は「原稿用紙がスラスラ埋まる読書感想文の書き方と心構え」をお伝えします。

実は、読書感想文で手が止まってしまう人の多くは、「この本の内容を完璧に説明しなければいけない」「立派で道徳的な感想を書かなければいけない」と思い込んでいる傾向があります。

しかし、読書感想文は「本の紹介文(ブックレビュー)」ではありません。

本というきっかけを通して、「あなた自身の心がどう動いたか」を言葉にする作業なのです。

今回は、国語教員の視点から、テクニックだけでなく「なぜ読書感想文という宿題が存在するのか」という本当の意味も含めて、書き方の手順と心構えをお話しします。

 書き方の心構えと手順

では、まずは書き方の前に「心構え」からお伝えします。

【心構え】書く前に知っておいてほしい3つのこと

「読書感想文」と身構えてしまうかもしれませんね。
でも、これからご紹介する3つのことを心に留めておくことで、ハードルを下げることができるでしょう。

内容すべてに「賛同」しなくていい(違和感や反発こそ最高のネタ)

「登場人物の生き方に感動しました」「素晴らしい教訓を得ました」といった、優等生的な感想を書く必要は一切ありません。

むしろ、「え、これっておかしくない?」「私はこの主人公の考え方に納得できない」という違和感や反発する気持ちこそ、あなたにしか書けない最高の感想文になります。

実は私自身、高校時代に賞をいただいた読書感想文(『かもめのジョナサン』)は、まさにこの「違和感」から書き始めました。
「みんなはジョナサンをヒーロー扱いしているけれど、群れを外れて自分のやりたいことだけを追求した姿勢を、美談で片づけてしまっていいのだろうか?」という疑問をぶつけたのです。

作品の主張に反論しても構いません。「イラッとした」「モヤモヤした」という感情の芽生えを、ぜひ大切にしてください。

あらすじで原稿用紙を埋めようとしない

感想文が書けない人がよくやってしまうのが、「物語の最初から最後までのあらすじ」をダラダラと書いてしまうことです。

繰り返しになりますが、読書感想文は本の内容を知らない人に教える「本紹介」ではありません。あらすじは、自分の感想を説明するために必要な最小限(数行程度)で十分です。

長大なストーリーのすべてを語る必要はなく、「自分の心が一番動いた1つの場面」「登場人物の印象的な1つの発言」だけにスポットを当てて語るということを覚えておいてください。

「自分の内面」を言葉にする練習だと思って割り切る

「自分の思いや感情を文章にするのは恥ずかしい」「自己開示に抵抗がある」と感じる人も多いでしょう。

しかし、社会に出て大人になると、「自分はなぜそう思うのか」「なぜその提案に違和感があるのか」という自分の内面を客観的に言語化し、他人に伝える場面が必ず訪れます。

  • なぜ、あの場面でイラッとしたのか?

  • なぜ、あのセリフを読んで泣きたくなったのか?

自分の感情の理由を言葉にできるようになると、普段の生活で感じる原因不明のモヤモヤやストレスが、少しラクになることがあります。
その点で言うと、読書感想文は「自分の心と向き合うトレーニング」と言えるのではないでしょうか。

【実践手順】原稿用紙が埋まる4ステップ

それでは、いよいよ読書感想文に取り掛かりましょう。
『かもめのジョナサン』を例にとり、私が高校時代に書いた読書感想文をアレンジしながら文例をご紹介します。

 

【読む】本を読みながら心が動いた箇所に付箋をつける

読みながら、心が動いた箇所に付箋を付けます。

共感:「わかる!」「自分もそういうことしちゃうな」「自分にもこういう経験したな」
感動:「いいこと言うなあ」「泣けてきた」

反発:「なんでそんなことしたんだ?」「なんでそんなこと言うんだ?」

【まとめる】どんな話だったかを短くまとめてみる

いきなり原稿用紙に向かうと、きっと固まって止まってしまうでしょう…
下準備が「読書感想文をスラスラ書く」助けとなります。

まずは、読み終わって、実際にこの本はどんな話だったのかをまとめてみます。
ここで「この人はこういうことがあって、こうなって、ああなって、最後に…」となったら、ダラダラあらすじ感想文のはじまりなので注意してください。

例)ジョナサンは、食べることよりも飛ぶことが好きなカモメ。自分のしたいことに没頭し、貫いた彼は英雄視されていった。

※「こんなんで足りる?」「間違ったとこピックアップしてないかな?」と不安になるかもしれません。でもそれでいいんです。本の裏表紙に書いてある、内容紹介を読んでみてください。内容のすべてを書いてあるわけではないですよね。
「どんな人(生き物)が登場して、どんなことをする/どんな風になったお話」という点がおさえられれば、第一関門はクリアです。

 

【素材メモ】「心が動いたポイント」の整理

心が動いた点を整理し、どの内容について書いていくかを絞っていきます。

① なぜこの本を読もうと思ったのか?

まず最初に心が動いたのは、この本を選んだ動機でしょう。
感想文に使えるかどうかはあとで考えることにして、「素材メモ」として言語化しておきましょう。

あらすじを読んで惹かれた場合

例)私がこの本を選んだ理由は、私のように進路に悩む高校生が主人公だったからだ。

というように、あらすじにあった何に惹かれたのかをメモしておきましょう。

特に強い動機はない場合

例)私がこの本を選んだ理由は、母の本棚にあったからだ。なんとなく古くて名作の予感がしたので、「この本なら感想文が書けるかな」と思った。

※お気づきかと思いますが、この動機は使いませんでした。でも、その後の文脈によってはこの何気ない動機が効いてくるのです。

例)私がこの本を選んだ理由は、母の本棚にあったからだ。なんとなく古くて名作の予感がしたので、「この本なら感想文が書けるかな」と思った。しかし、気が付いたら時間を忘れて読んでいた。私の直感は間違っていなかった。

※このように、「最初は軽い気持ちだったが、自分を変える一冊に出会えた」という文章にすると、強い動機がないことが活かせます。

他にも、

・タイトルに惹かれた
・表紙の絵に惹かれた
などの理由があるのではないでしょうか。

② 付箋をつけた箇所の振り返り

「なぜそこで心が動いたのか?」を考えます。
「自分も過去に似たような失敗をしたから」「自分の周りにもこういう人がいて嫌だったから」など、自分の体験談を引き寄せるのがポイントです。
経験が無くても、自分が言われたら「嬉しい/嫌だ」という理由であれば、「何が原因で嬉しい/嫌だと感じるのか」をメモしておきましょう。

※付箋をつけたところに全てについて、しっかりとメモをする必要はありません。
付箋の箇所を振り返り、強く心が動いた箇所からやっていきましょう。3つくらいに絞れたら、次のステップに進んでみましょう。

● 共感

例)私にもジョナサンのように、夢中になれることがある。食事を摂るのも忘れて没頭してしまい、母に怒られることもしばしばだ。

自分も登場人物のような経験をした同じことを言われたことがあるということが多ければ多いほど書く内容が広がりやすくなります。

● 憧れ/羨ましい

例)他のカモメが食べるために飛ぶが、ジョナサンはただひたすら飛ぶことが好きだった。「飢えながらも幸せだ」と言うジョナサン。それほどまでに没頭するものがある彼が、私は羨ましかった。
「自分は登場人物のようにできないけれど、してみたい気持ちがある」「してはいけないと思うが、できたらいいなとも思う」といった、憧れや羨ましさというのも大きく心が動く要因になりますね。
● 反発/疑問
例)ジョナサンは、周囲の心配を無視して自分のやりたいことだけを貫いた。彼を英雄だとする者も現れたが、ジョナサンは本当に英雄なのだろうか。私は、身近な人を苦しめるような人は英雄だとは思えない。

「心構え」でもお伝えしたように、内容を全て肯定的に受け止める必要はありません。
「イラついた」「モヤっとした」「共感できない」ということをピックアップし、なぜそう思うのかを言語化しましょう。

【構成】メモの内容組み立てる

これまで作ったメモをもとに、読書感想文を組み立てていきます。
文体は、やはり高校生であれば「だ・である調」が望ましいです。文字数が稼げるという理由で「です・ます調」にすると、文章が幼い印象になってしまいます。

では、文章を組み立てていきましょう。

① 導入: なぜこの本を選んだか / どんな話だったか

【素材メモ】① なぜこの本を読もうと思ったのか?【まとめる】どんな話だったかを短くまとめてみるを参考にします。

例)私がこの本を選んだ理由は、母の本棚にあったからだ。なんとなく古くて名作の予感がしたので、「この本なら感想文が書けるかな」と思った。しかし、気が付いたら時間を忘れて読んでいた。私の直感は間違っていなかった。
ジョナサンは、食べることよりも飛ぶことが好きなカモメ。自分のしたいことに没頭し、貫いた彼は英雄視されていった。

 

② 展開(あらすじ&意見): 特に印象に残った場面と、それに対する自分の意見

【素材メモ】付箋をつけた箇所の振り返り
「反発/疑問」の箇所がある場合は、先に「共感」や「憧れ/羨ましい」について書くと続けやすいです。

例)他のカモメが食べるために飛ぶが、ジョナサンはただひたすら飛ぶことが好きだった。「飢えながらも幸せだ」と言うジョナサン。それほどまでに没頭するものがある彼が、私は羨ましかった。
しかしジョナサンは、周囲の心配を無視して自分のやりたいことだけを貫いた。両親は心を痛め、仲間たちは去って行った。彼を英雄だとする者も現れたが、ジョナサンは本当に英雄なのだろうか。

 

③ 深掘り(体験談): 自分のこれまでの経験や、身の回りの出来事、社会の風潮との比較

自分の意見の根拠となる経験や出来事、また「社会的にはこう考えられている」ということを用いて、文章を肉付けしていきましょう。

例)他のカモメが食べるために飛ぶが、ジョナサンはただひたすら飛ぶことが好きだった。「飢えながらも幸せだ」と言うジョナサン。「みんなと同じであれば安心」と思う人が圧倒的に多い世の中だ。私は、人と違うことはしない人間だった。人に止められても続けるという強い意志はなかったし、それほどまでにやりたいことにも出会えてなかった。だからジョナサンが自分の「好き」を貫いていることに、羨ましさや憧れを感じた。
しかしジョナサンは、周囲の心配を無視して自分のやりたいことだけを貫いた。両親は心を痛め、仲間たちは去って行った。彼を英雄だとする者も現れたが、ジョナサンは本当に英雄なのだろうか。私は、身近な人を苦しめるような人は英雄だとは思えない。

④ 結論: 本を読む前と読んだ後で、自分の考えや見方がどう変わったか

例)食べることも忘れて飛ぶことに夢中になるジョナサンの話を読んで、自分の「好き」はなんだろうと考えた。また、受け身の姿勢ではなく、「なぜ?」と考えるようになった。ジョナサンのおかげで、私は自ら考えて行動するようになった。

または、「自分なりの答えを見つける」というのもいいですね。

例)自分の「好き」を貫ける人は、素晴らしいと思っていた。しかし、本当に目指すべきは自分のやりたいこともやるが、誰も犠牲にしないことではないか。自分だけでなく人にも優しくするのが、本物の「英雄」なのではないかと考えるようになった。

 

⑤ 最後にもう一度読み返す(文章のリズム確認)

書き終えたら一度声に出して(あるいは脳内で)読んでみてください。句読点の位置や文章の長さが不自然でないか確認しましょう。

 

【特別コラム】「読書感想文、AIに書かせてもいい?」と悩むあなたへ

「ぶっちゃけ、ChatGPTなどのAIに読書感想文を書かせたらダメなのかな……?」

そう思ったことがある人もいるかもしれません。
私の答えは、「AIを完全に否定する気はないけれど、丸投げは絶対にNG」です。
これからの時代、AIを上手に使いこなすスキル自体はとても大切だと思います。

ただし、AIを上手に使うためには「指示を出すための文章力」が欠かせません。

単に「〇〇の読書感想文を書いて」と打ち込んでも、そこに出てくるのはどこかで見たような、誰の心にも響かない「無難な作文」だけです。それは、あなたの感想ではありません。

もしAIを頼るなら、せめてこう指示を出してみてください。

「この本を読んで、〇〇という場面でイラッとしたんだよね。その違和感を軸に読書感想文を書きたいんだけど、どんな構成にしたらいいかな?」

このように、「自分の感情(軸)」をAIに伝えて、構成(骨組み)や言い回しのアイデアを出してもらうツールとして使うのです。
大学のレポート作成などでも、優秀な人ほどこうしてAIを「思考のパートナー」として賢く活用しています。

そして、一番大切な注意点が1つあります。

AIが提示してくれた文章の中に、「普段の自分が絶対に使わない難しい言い回し」があったら、必ず自分の言葉に言い換えること。

学校に提出している普段の作文や、テストの記述問題であなたが使っている言葉のトーンを思い出してください。
そこからズレた言葉は、もう「あなたの文章」ではありません。
先生たちが見れば、「あ、これは本人の言葉じゃないな」とすぐに分かってしまいます(笑)。

AIに丸投げして「自分の思考」を放棄するのではなく、AIを上手に使って「自分の思いをより伝わる形にする」こと。それこそが、これからの時代に必要な本当の国語力ですよ。

※事前に学校から「AIの使用は禁止」などと指示がある場合は、しっかりとその指示に従いましょう。

まとめ

読書感想文は、決して「先生を満足させるための退屈な作業」でも「無駄な時間」でもありません。

自分にピッタリ合う本との出会いを通して、「自分でも知らなかった自分の感情や価値観」に気づくための貴重な機会です。

完璧な文章を書こうと、気負う必要はありません。作品に対する率直な疑問や違和感、心が揺さぶられた瞬間を素直に言葉にしてみてください。

この記事が、あなたの「自分だけの意見」を言葉にするきっかけになれば幸いです。

この記事を書いた人
あずき

40代、一児の母
通信制高校の国語教員

生徒が「呪文にしか見えない」という古文・漢文に、少しでも興味を持ってもらえたらと作品についてとことん調べています。

自分の生徒には直接伝えられるけど、
聞きたくても聞けない…などと困っている方にも届けたくて、ブログを始めました。

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