「流涕斬馬謖（流涕して馬謖を斬る）」現代語訳・解説

十八史略より「流涕斬馬謖（流涕りゅうていして馬謖ばしょくを斬きる）」について見ていきます。

この記事では

・白文
・書き下し文（読み仮名付き）
・語句の意味/解説
・現代語訳

以上の内容について順番に説明していきます。

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① 亮明年率大軍攻祁山。

亮りょう明年みょうねん大軍たいぐんを率ひきゐいて祁山きざんを攻せむ。

【訳】諸葛亮は次の年大軍を率いて祁山を攻撃した。

諸葛亮は227年に北伐を決めます。
「北伐」とは南方から向かい、北方勢力と戦うことを言います。
蜀の国の軍隊は、北方にある魏を倒すために出陣したのです。
祁山は、諸葛亮が魏を攻めようとして六度失敗した場所でもあります。

② 戎陣整斉、号令明粛。

戎陣じゅうじん整斉せいせいにして、号令ごうれい明粛めいしゅくなり。

【訳】（諸葛亮の軍の）戦陣は整い揃っていて、命令は明らかで厳しい。

③ 始魏以昭烈既崩、数歳寂然無聞、略無所備。

始はじめ魏ぎ昭烈しょうれつ既すでに崩ほうじ、数歳すさい寂然じゃくねんとして聞きこゆる無なきを以もつて、略ほぼ備そなふうる所ところ無なし。

【訳】当初魏は劉備が前に亡くなり、数年ひっそりとして静かであって（戦争をするとか言うのを）聞くことが無かったので、ほとんど（戦争に）備えていなかった。

魏は「蜀は劉備がいるから脅威なのであって、彼の死後何も行動を起こしていない」として油断していました。

そんな蜀の諸葛亮から攻め込まれたと知って、魏の国全体がびっくりして慌てたということですね。

④ 猝聞亮出、朝野恐懼。

猝にわかに亮りょうの出いづるを聞ききて、朝野ちょうや恐懼きょうくす。

【訳】突然諸葛亮が出陣したのを聞いて、（魏の国の）朝廷だけでなく（そこで生活する）民衆も恐れ畏まった。

⑤ 於是天水・安定等郡、皆応亮。

是ここに於おいて天水てんすい・安定あんてい等らの郡ぐん、皆みな亮りょうに応おうず。

【訳】そこで天水や安定などの郡は、皆諸葛亮を受け入れた。

ここで、位置関係を把握しておきましょう。

天水郡と安定郡、そして南安軍は、魏の国の祁山攻め込んできた蜀軍に対抗するのではなく、従うことにしたということです。

⑥ 関中響震。

関中かんちゅう響震きょうしんす。

語句	意味/解説
関中	地名。函谷関かんこくかんと武関の内側。現在の陝西せんせい省西安市一体を指す。
響震す	驚き騒ぐ

【訳】関中は驚き騒いだ。

⑦ 魏主如長安、遣張郃拒之。

魏主ぎしゅ長安ちょうあんに如ゆき、張郃ちょうこうをして之これを拒ふせがしむ。

【訳】魏主である曹叡は長安に行き、張郃にこれを防がせた。

⑧ 亮使馬謖督諸軍、戦于街亭。

亮りょう馬謖ばしょくをして諸軍しょぐんを督とくし、街亭がいていに戦たたかはわしむ。