草縁集「車中雪」現代語訳・解説

古文

※当サイトはアフィリエイト広告を利用しています。

かのしぶしぶなりし人々ひとびとも、いといげて、

あの嫌々であった人たちも、とてもひどく嬉しさで顔をほころばせて、

語句 意味
代名詞
格助詞
しぶしぶなり ナリ活用の形容動詞「渋々なり」連用形
過去の助動詞「き」連体形
人々 名詞
も、 係助詞
いと 副詞(とても)
いたう 副詞(ひどく)のウ音便
笑み曲げ ガ行下二段活用動詞「笑み曲ぐ」(嬉しさで顔をほころばせる)連用形
て、 接続助詞

 

雪が消えて行っているのを死ぬほど嫌がっていた人たちも、一面に降り乱れた雪にご満悦のようですね。

 

「これや小倉おぐらみねならまし」「それこそ梅津うめづのわたりならめ」と、

「これは小倉の峰であろうか」「それこそが梅津の渡し場だろう」と、

語句 意味
「これ 代名詞
疑問の係助詞 ※結び:まし
小倉 名詞(京都の小倉山のこと)
格助詞
名詞
なら 断定の助動詞「なり」未然形
まし」 推量の助動詞「まし」連体形 【係り結び】
「それ 代名詞
こそ 強意の係助詞 ※結び:め
梅津 名詞(京都の右京区にある。川港として重要な場所だった)
格助詞
渡り 名詞(渡し場)
なら 断定の助動詞「なり」未然形
め」 推量の助動詞「む」已然形 【係り結び】
と、 格助詞

 

口々くちぐちにさだめあるものから、まつたけとのけぢめをだに、とりはづしてたがへぬべか めり。

口々に言い合っているけれども、松と竹との区別さえ、うっかりして間違えてしまいそうだ。

語句 意味
口々に 副詞
定めあへ ハ行四段活用動詞「定め合ふ」(議論し合う、言い合う)已然形
存続の助動詞「り」連体形
ものから、 接続助詞(~けれども)
名詞
格助詞
名詞
格助詞
格助詞
けぢめ 名詞(区別)
格助詞
だに、 副助詞(~でさえ)
とりはづし サ行四段活用動詞「取り外す」(うっかり間違える)連用形
接続助詞
違へ ハ行下二段活用動詞「違へる」(間違える)
強調の助動詞「ぬ」(~てしまう)終止形
べか 推量の助動詞「べし」連体形「べかる」の撥音便「べかん」の「ん」の無表記
めり。 推量の助動詞「めり」

 

ここでは、松と竹が区別がつかないほど、雪がたくさん降っている様子を表しています。

 

「あはれおもしろしとはかかるをやならんかし。

「ああ、世の中にある趣があることとはこのようなことを言うのだろうかねえ。

語句 意味
「あはれ、 感動詞(ああ)
名詞(世の中)
格助詞
面白し ク活用の形容詞「面白し」(趣がある)終止形
格助詞
係助詞
かかる 連体詞(このような)
格助詞
疑問の係助詞 ※結び:む
言ふ ハ行四段活用動詞「言ふ」終止形
なら 断定の助動詞「なり」未然形
助動詞「む」連体形 【係り結び】
かし。 終助詞(~ねえ)

 

なおここにてをやさまし」とて、やがてしたすだれかかげたまつつ、

やはりここで(雪を)見て美しさを味わおう」と言って、そのまま下簾を高く上げなさりながら、

語句 意味
副詞(やはり)
ここ 代名詞
にて 格助詞
格助詞
見栄やさ サ行四段活用動詞「見栄やす」(見て美しさを味わう)
まし」 意志の助動詞「まし」終止形
とて、 格助詞
やがて 副詞(そのまま)
下簾 名詞(牛車の簾の内側にかけて垂らすのれんのような長い二本の布を指す)
かかげ ガ行下二段活用動詞「掲ぐ」(高く上げる)
給ひ ハ行四段活用補助動詞「給ふ」連用形 【尊敬】作者→主人公への敬意
つつ、 接続助詞(~ながら)

 

ここもまた つきなかなる さとならし ゆきひかりも よにざりけり

和歌:ここもまた月の中にある里であるらしい。雪の光も世の中に並ぶものが無い(くらい素晴らしい)ことよ。

語句 意味
ここ 代名詞
係助詞
また 副詞
名詞
格助詞
名詞
なる 断定の助動詞「なり」連体形
名詞
ならし 断定の助動詞「なり」連体形+推定の助動詞「らし」が変化したもの=(~であるらしい)
名詞
格助詞
名詞
係助詞
名詞(世の中)
格助詞
ナ行上一段活用動詞「似る」未然形
ざり 打消の助動詞「ず」連用形
けり 詠嘆の助動詞「けり」(~ことよ)終止形

桂は月の名所です。
その地名は、月が美しいことから中国の故事からつけられたと言われています。

ここでは、雪の美しい景色を、月の光に照らされていると例えているのですね。

そうです。
「まだ月の名所の桂の院に到着していないけれども、ここもまた月の里である桂のようだ」と言っているのです。

「世に似ず」とは「類がなく、すばらしい」ということを表しています。

 

などきょうぜさせ給ふたもうほど、かたちかしげなるわらわの、すかんたるが、

などと面白がりなさるうちに、顔つきがとても愛らしい童で水干を着ている童が、

語句 意味
など 副助詞
興ぜ サ行変格活用動詞「興ず」(面白がる※ここでは雪を堪能していることを表す)未然形
させ 尊敬の助動詞「さす」連用形
給ふ ハ行四段活用補助動詞「給ふ」連体形 【尊敬】作者→主人公に対する敬意
ほど、 名詞(うち)
かたち 名詞(顔つき、見た目)
をかしげなる ナリ活用の形容動詞「をかしげなり」(すばらしい、とても愛らしい)連体形
名詞(子ども)
格助詞
すゐかん 名詞「水干」(狩衣のような衣服 ※「千と千尋の神隠し」のハクのような服装)
カ行上一段活用動詞「着る」連用形
たる 存続の助動詞「たり」連体形
が、 接続助詞

 

おんあととめて、しじのもとにうづくまりつつ、

手に息を吹きかけながら後ろを尋ね求めて来て、榻のあたりにしゃがみながら、

語句 意味
名詞
格助詞
吹く吹く カ行四段活用動詞「吹く」(息を吹きかける)の副詞的用法(~ながら)
御あと 尊敬の接頭語「御」+名詞(後ろ)【尊敬】作者→主人公に対する敬意
とめ来 カ行変格活用動詞「尋め来」(尋ね求めて来る)連用形
て、 接続助詞
名詞(牛車の道具。牛車を引く持ち手を乗せたり、乗り降りの際に踏み台としても使われた)
格助詞
もと 名詞(あたり)
格助詞
うずくまり ラ行四段活用動詞「うずくまる」(しゃがむ)
つつ、 接続助詞(~しながら)

 

主人公が乗っている牛車に追いついた童は、ひざまづくようにしゃがみ込んだのですね。

 

「これ御車みくるまに」とてさしでたるは、源少将げんのしょうしょうよりのみせうそこなりけり。

「これを御車(に乗っていらっしゃる方)に」と言って差し出したのは、源少将からのお手紙であった。

語句 意味
「これ 代名詞
御車 名詞 【尊敬】童→主人公に対する敬意
に」 格助詞
とて 格助詞
差し出で ダ行下二段活用動詞「差し出づ」(差し出す)連用形
たる 完了の助動詞「たり」連体形
は、 係助詞
源少将 名詞
より 格助詞
係助詞
みせうそこ 名詞「御消息みしょうそこ」尊敬の接頭語「御」+名詞(手紙)【尊敬】作者→主人公に対する敬意
なり 断定の助動詞「なり」連用形
けり。 過去の助動詞「けり」終止形

 

大夫たいふとりつたたてまつるを給ふたもうに、「いつもおくらかし給はたまわぬをかく、

大夫が取り次いで差し上げるのを(主人公は)ご覧になると、「いつもは(私を)置いていきなさらないのに、(今回は)このようにして(置いていかれたので)、

語句 意味
大夫 名詞(役職の一つ。ここでは主人公のお供をしている家司の一人を指す)
とりつたへ ハ行下二段活用動詞「取り伝ふ」(取り次ぐ、受け取って渡す)
接続助詞
奉る ラ行四段活用動詞「奉る」(差し上げる)連体形 【謙譲】作者→主人公への敬意
格助詞
マ行上一段活用動詞「見る」連用形
給ふ ハ行四段活用補助動詞「給ふ」連体形 【尊敬】作者→主人公に対する敬意
に、 接続助詞
「いつも 副詞
おくらかし サ行四段活用動詞「後らかす」(後に残す、置いていく)
給は ハ行四段活用補助動詞「給ふ」未然形 【尊敬】源少将→主人公に対する敬意
打消の助動詞「ず」連体形
を、 格助詞
かく、 副詞(このように)

 

白雪しらゆきの ふりてられし あたりには うらみのみこそ 千重ちえもれれ

和歌:白雪が降り捨てられた辺りでは、(あなたに置き去りにされた私の)恨みばかりが千重に積もっている

語句 意味
白雪 名詞
格助詞
ふり捨て タ行下二段活用動詞「ふり捨つ」(置き去りにする、見捨てる)未然形
※ここでは、「降る」と「振る」がかけられている
られ 受身の助動詞「らる」連用形
過去の助動詞「き」連体形
あたり 名詞
格助詞
係助詞
恨み 名詞
のみ 副助詞(~だけ)
こそ 強意の係助詞 ※結び:れ
千重 名詞(何重にも重なっている様子)
格助詞
積もれ ラ行四段活用動詞「積もる」(積み重なる)已然形
完了の助動詞「り」已然形 【係り結び】

 

とあるを ほほ給ひたまいて、たうがみに、

とあるので、ほほ笑みなさって、(懐から取り出した)畳紙に、

語句 意味
格助詞
ある ラ行変格活用動詞「あり」連体形
を、 接続助詞
ほほ笑み マ行四段活用動詞「ほほ笑む」連用形
給ひ ハ行四段活用補助動詞「給ふ」連用形 【尊敬】作者→主人公への敬意
て、 接続助詞
たたうがみ 名詞「畳紙たとうがみ」(懐に入れておく紙。和歌を書いたり、鼻をかむのにも使用した)
に、 格助詞

 

とめやと ゆきにしあとを つけつつも まつとはひとらずやありけん

和歌:(あなたが私を)尋ね求めて来るだろうかと 雪に(牛車が)進んだ跡をつけながらも 待つとはあなたは 知らなかったのだろうか

語句 意味
とめ来 カ行変格活用動詞「尋め来」(尋ね求めて来る)終止形
疑問の係助詞(~か)
格助詞
ゆき 名詞(※ここでは「雪」と「行き」をかけている)
格助詞
過去の助動詞「き」連体形
あと 名詞(痕跡)
格助詞
つけ カ行下二段活用動詞「つく」連用形
つつ 接続助詞(~ながら)
係助詞
待つ タ行四段活用動詞「待つ」終止形
格助詞
係助詞
代名詞(あなた)
格助詞
知ら ラ行四段活用動詞「知る」未然形
打消の助動詞「ず」連用形
疑問の係助詞
あり ラ行四段活用動詞「あり」連用形
けむ 過去の原因推量の助動詞「けむ」連体形

 

「知らずやありけむ」を疑問で訳しましたが、反語にすると「あなたは知らなかったのだろうか、いや知らないはずはない(私の思いを分かってくれたよね?)」と解釈できて面白いかもしれませんね。

 

やがてそこなるまつゆきながららせ給ひたまて、そのえだにむすびつけてぞたませたる。

すぐにそこにある松を雪のまま折り取りなさって、その枝に結びつけてお与えになった。

語句 意味
やがて 副詞(すぐに)
そこ 代名詞
なる 断定の助動詞「なり」連体形
名詞
格助詞
名詞
ながら 接続助詞(~のまま)
折ら ラ行四段活用動詞「折る」(折り取る)未然形
尊敬の助動詞「す」連用形 作者→主人公への敬意
給ひ ハ行四段活用補助動詞「給ふ」連用形 【尊敬】作者→主人公への敬意
て、 接続助詞
代名詞
格助詞
名詞
格助詞
結びつけ バ行四段活用動詞「結びつく」連用形
接続助詞
強意の係助詞 ※結び:たる
たまはせ サ行下二段活用動詞「賜はす」(お与えになる)連用形 【尊敬】作者→主人公への敬意
たる。 完了の助動詞「たり」連体形

 

れかかるほど、さばかりあまぎらたりしも、

だんだん日が暮れはじめる頃に、あんなにも空一面が曇っていたのに、

語句 意味
やうやう 副詞(だんだん)
暮れかかる ラ行四段活用動詞「暮れかかる」(日が暮れはじめる)連体形
ほど、 名詞(頃)
さばかり 副詞(あんなにも)
あまぎらひ ラ行四段活用動詞「天霧らふ」(空一面が曇る)
たり 存続の助動詞「たり」連用形
過去の助動詞「き」連体形
も、 接続助詞

 

いつしかなごりなくれわたりて、さと月影つきかげはなやかにさしでたるに、

いつの間にか跡形もなく晴れ渡って、(月にゆかりのある)名を持っている里(=桂)の月の光が明るく美しく輝き出しているので、

語句 意味
いつしか 副詞(いつの間にか)
なごりなく ク活用の形容詞「名残なし」(跡形もない)連用形
晴れわたり ラ行四段活用動詞「晴れ渡る」連用形
て、 接続助詞
名詞
格助詞
負ふ ハ行四段活用動詞「負ふ」(持っている)連体形
名詞
格助詞
月影 名詞(月明かり、月光)
はなやかに ナリ活用の形容動詞「華やかなり」(明るく美しい)連用形
さし出で ダ行下二段活用動詞「差し出づ」(輝き出す)
たる 存続の助動詞「たり」連体形
に、 接続助詞

 

ゆきひかりもいとどしくえまさりつつ、あめつちのかぎり、

雪の光もいっそう華やかさが増しながら、天と地の果てまで、

語句 意味
名詞
格助詞
名詞
係助詞
いとどしく シク活用の形容詞「いとどし」(ますます、いっそう)
映え 名詞(見映え、華やかさ)
はえまさり ラ行四段活用動詞「増さる」(増す)連用形
つつ、 接続助詞
あめつち 名詞(天と地)
格助詞
かぎり、 名詞(果て)

 

白銀しろかねうちのべたらんがごとくきらめきわたりて、あやにまばゆきのさまなり。

白銀を一面に広げたかのようにきらきらと輝いて、言い表せないほどにまぶしい夜の様子である。

語句 意味
白銀 名詞(銀、銀色)
※白く光る、降り積もった雪を表す語として用いられる
うちのべ 接頭語「打ち」(一面に)+バ行下二段活用動詞「のぶ」(広げる)連用形
たら 完了の助動詞「たり」未然形
婉曲の助動詞「む」連体形
格助詞
ごとく ク活用の形容詞「ごとし」(~のようだ)連用形
きらめき カ行四段活用動詞「きらめく」(きらきらと輝く)連用形
わたり ラ行四段活用補助動詞「渡る」(一面に~する)連用形
て、 接続助詞
あやに 副詞「奇に」(言い表せない)
格助詞
まばゆき ク活用の形容詞「まばゆし」(まぶしい)連体形
名詞
格助詞
さま 名詞(様子)
なり。 断定の助動詞「なり」終止形

 

いんのあづかりもて、「わたらせ給ふたもうともらざりつれば、

(桂の)院の管理人も出て来て、「このようにお越しになると言うことも知らなかったので、

語句 意味
名詞
格助詞
あづかり 名詞「預かり」(管理人)
係助詞
出で来 カ行変格活用動詞「出で来」(出て来る)連用形
て、 接続助詞
「かう 副詞(このように)
渡ら ラ行四段活用動詞「渡る」(いらっしゃる)未然形 【尊敬】院の管理人→主人公への敬意
尊敬の助動詞「す」連用形 【尊敬】院の管理人→主人公への敬意
給ふ ハ行四段活用補助動詞「給ふ」終止形 【尊敬】院の管理人→主人公への敬意
格助詞
係助詞
知ら ラ行四段活用動詞「知る」未然形
ざり 打消の助動詞「ず」連用形
つれ 完了の助動詞「つ」已然形
ば、 接続助詞

 

とくもむかたてまつらざりしこと」などつつ、かしらももたげで、

早くに出迎え申し上げなかったことよ」などと言いながら、頭も持ち上げないで、

語句 意味
とく 副詞「疾く」(すぐに)
係助詞
迎へ ハ行下二段活用動詞「迎ふ」(出迎える)連用形
奉ら ラ行四段活用補助動詞「奉る」(~申し上げる)未然形 【謙譲】院の管理人→主人公への敬意
ざり 打消の助動詞「ず」連用形
過去の助動詞「き」連体形
こと」 名詞(ことだよ)
など 副助詞
言ひ ハ行四段活用動詞「言ふ」連用形
つつ、 接続助詞
名詞
係助詞
もたげ ガ行下二段活用動詞「もたぐ」(持ち上げる)連用形
て、 接続助詞

 

よろづに追従ついしょうするあまりに、うしひたいゆきかきはらとては、

あれこれとご機嫌を取るあまりに、牛の額の雪をかき払うと言っては、

語句 意味
よろづに 副詞(あれこれと)
追従する サ行変格活用動詞「追従す」(ご機嫌を取る、こびへつらう)連体形
あまり 名詞
に、 格助詞
名詞
格助詞
名詞
格助詞
名詞
かきはらふ ハ行四段活用動詞「かき払ふ」(残らず払いのける)終止形
とて 格助詞
は、 係助詞

 

くびきれて烏帽子えぼしとし、御車みくるまやるべきみちきよむとては、

軛に触れて烏帽子を落とし、御車を行かせる予定の道をきれいにすると言っては、

語句 意味
名詞
格助詞
触れ ラ行下二段活用動詞「触る」(触れる)連用形
接続助詞
烏帽子 名詞(男性がかぶる帽子。平安時代では人前で着用していないのはありえないことだった)
格助詞
落とし、 サ行四段活用動詞「落とす」連用形
御車 名詞
やる ラ行四段活用動詞「遣る」(行かせる)終止形
べき 当然(予定)の助動詞「べし」連体形
名詞
きよむ マ行下二段活用動詞「清む」(きれいにする)終止形
とて 格助詞
は、 係助詞

 

あたらゆきをもみしだきつつ、足手あしていろをえびになして、桂風かつらかぜきありく。

せっかくの雪をも踏みつけながら、足や手の色を海老(のよう)に(赤く)して、桂風の中を、風邪をひきながら歩き回る。

語句 意味
あたら 連体詞(せっかくの)
名詞
格助詞
係助詞
踏みしだき カ行四段活用動詞「踏みしだく」(踏みつける)連用形
つつ、 接続助詞
足手 名詞(足と手)
格助詞
名詞
格助詞
海老 名詞
格助詞
なし サ行四段活用動詞「なす」(~にする)連用形
て、 接続助詞
桂風 名詞
格助詞
引きありく。 カ行四段活用動詞「引き歩く」(歩き回る)終止形

 

「風」は桂の寒さを表す「風」と、寒い中歩き回って「風邪」を引くということが掛けられています。

管理人さん、やっちゃってますね~
お出迎えができなかったから、挽回しようと色々したのに全て裏目に出てしまってます…

 

人々ひとびと「いまはとくれてむ。かしこのさまもいとゆかしきを」とて、

人々は、「もうこうなっては早く(中に)引き入れよう。あちらの様子もとても見たいよ」と言って、

語句 意味
人々、 名詞
「いま 名詞
係助詞
とく 副詞(早く)
引き入れ ラ行四段活用動詞「引き入る」(引き入れる)
完了の助動詞「つ」未然形
む。 意志の助動詞「む」終止形
かしこ 代名詞(あちら)
格助詞
さま 名詞
係助詞
いと 副詞
ゆかしき シク活用の形容詞「ゆかし」(見たい)連体形
を」 間投助詞
とて、 格助詞

 

もろそそきにそそきあるを、「げにも」とはおぼすものから、ここもなぐしがうて。

一斉に(牛車を移動しようと)みなでそわそわすると、(主人公も)「その通りだ」とお思いになるものの、ここもやはり見過ごすことができなくてね。

語句 意味
もろそそき 接頭辞「もろ」(一斉に)+カ行下二段活用動詞「そそく」(そわそわする)連用形
格助詞
そそきあへる ハ行四段活用動詞「そそきあふ」(みなでそわそわする)連体形
を、 接続助詞
「げにも」 副詞(その通りだ)
格助詞
係助詞
思す サ行四段活用動詞「思す」連体形 【尊敬】作者→主人公への敬意
ものから、 接続助詞
ここ 代名詞
係助詞
なほ 副詞(やはり)
見過ぐしがたう シク活用の形容詞「見過ぐし難し」(見過ごすことができない)
て。 終助詞

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回は、2024年の共通テストで取り上げられた『草縁集』の「車中雪」を読んできました。

敬語や和歌など、読み取りに苦労する内容だったかもしれませんね。

しかしよくよく読んでみると、雪に一喜一憂する人々のお話でした。
雪を楽しむ主人公一行と、それをもてなそうと空回りしてしまう桂の院の管理人が対照的でしたね。

みなさんはどのように感じましたか?

平安時代の作品を現代っぽく楽しみたい方はコチラ↓↓↓

この記事を書いた人
あずき

40代、一児の母
通信制高校の国語教員

生徒が「呪文にしか見えない」という古文・漢文に、少しでも興味を持ってもらえたらと作品についてとことん調べています。

自分の生徒には直接伝えられるけど、
聞きたくても聞けない…などと困っている方にも届けたくて、ブログを始めました。

≫詳しいプロフィールはこちら

あずきをフォローする
古文
シェアする
あずきをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました