『方丈記』より「ゆく河の流れ」について解説していきます。
成立:鎌倉時代初期
作者:鴨長明
ジャンル:随筆
内容:和漢混淆文で書かれている。
・仏教の教えである「無常観」
・自身が体験した天災
・方丈庵での生活や心境
和文と漢文が混ざって書かれていることで、独特なリズムが生まれています。
流れるようで、読みやすいと感じる方も多いのではないでしょうか。
今回は、方丈記の最初のお話になります。
鴨長明の「無常観」が良く表れている内容になっていますので、読み取っていきましょう。
後半では、兼好法師の「無常観」との違いについても説明します。
この記事では
・品詞分解と語句解説
・現代語訳
・本文の解説
以上の内容を、順番にお話していきます。
方丈記「ゆく河の流れ」品詞分解・現代語訳・解説
本文・品詞分解(語句解説)・現代語訳
ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。
語句 | 意味 |
ゆく | カ行四段活用動詞「ゆく」(流れていく)連体形 |
河 | 名詞 |
の | 格助詞 |
流れ | 名詞 |
は | 係助詞 |
絶え | ヤ行下二段活用動詞「絶ゆ」(絶える、途切れる)未然形 |
ず | 打消の助動詞「ず」連用形 |
して、 | 接続助詞 |
しかも | 接続詞(その上、そればかりか) |
もと | 名詞(以前、昔) |
の | 格助詞 |
水 | 名詞 |
に | 断定の助動詞「なり」連用形 |
あら | ラ行変格活用動詞「あり」未然形 |
ず。 | 打消の助動詞「ず」終止形 |
【訳】流れていく川の流れは絶えることなく、その上以前の水ではない。

流れている川の水は、常に新しいものと元のものが入れ替わっています。
淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたる例なし。
語句 | 意味 |
淀み | 名詞(川などの流れが滞っているところ) |
に | 格助詞 |
浮かぶ | バ行四段活用動詞「浮かぶ」連体形 |
うたかた | 名詞(水の泡) |
は、 | 係助詞 |
かつ | 副詞(一方では~、一方では~) |
消え | ヤ行下二段活用動詞「消ゆ」連用形 |
かつ | 副詞 |
結び | バ行四段活用動詞「結ぶ」(固まる、形ができる)連用形 |
て、 | 接続助詞 |
久しく | シク活用の形容詞「久し」(長い時間が経つ)連用形 |
とどまり | ラ行四段活用動詞「とどまる」(同じ場所にいる)連用形 |
たる | 存続の助動詞「たり」連体形 |
例 | 名詞(前例) |
なし。 | ク活用の形容詞「なし」終止形 |
【訳】川の流れが滞ったところに浮かぶ水の泡は、一方では消え、一方では形をなし、長い時間同じ場所にいるという前例はない。

ここでは、「川の流れの上に浮かんでいる泡も、常に膨らんで浮かんでいるわけではない。消えてはでき、こちらも常に変化している。」と言っています。
世の中にある、人と栖と、またかくのごとし。
語句 | 意味 |
世の中 | 名詞 |
に | 格助詞 |
ある | ラ行変格活用動詞「あり」(生きている、暮らしている)連体形 |
人 | 名詞 |
と | 格助詞 |
栖 | 名詞(人が住むところ) |
と、 | 格助詞 |
また | 副詞 |
かく | 副詞(このように) |
の | 格助詞 |
ごとし。 | 比況の助動詞「ごとし」終止形 |
【訳】世の中に生きている人と人の住まいは、またこれのようだ。

「かくのごとし(これのようだ)」とは、人が生きるということは、川の流れや水の泡と同じだということです。

起きたことは川の流れのように過ぎていき、家や財産などは川の水面にできた泡のように、儚いものだと言っているのですね。
たましきの都のうちに、棟を並べ、甍を争へる、
語句 | 意味 |
たましき | 名詞(玉を敷きつめたような美しさ) |
の | 格助詞 |
都 | 名詞 |
の | 格助詞 |
うち | 名詞(中) |
に、 | 格助詞 |
棟 | 名詞(屋根の背に当たる一番高いところを指す) |
を | 格助詞 |
並べ、 | バ行下二段活用動詞「並ぶ」連用形 |
甍 | 名詞(屋根の一番高いところを指す) |
を | 格助詞 |
争へ | ハ行四段活用動詞「争ふ」(張り合う、競い合う)已然形 |
る、 | 存続の助動詞「り」の連体形 |
【訳】玉を敷きつめたような美しい都の中に、たくさんの建物が立ち並び、屋根の高さを競い合うように、

「甍を争ふ」とは、屋根の高さを競うように大小の建物が密集して並んでいる様子を表します。
貴き、賤しき人の住まひは、世々を経て尽きせぬものなれど、
語句 | 意味 |
貴き、 | ク活用の形容詞「貴し」(身分が高い、高貴である)連体形 |
賤しき、 | シク活用の形容詞「賤し」(身分が低い)の連体形 |
人 | 名詞 |
の | 格助詞 |
住まひ | 名詞(住まい) |
は、 | 係助詞 |
世々 | 名詞(代々) |
を | 格助詞 |
経 | ハ行下二段活用「経フ」(時が経つ)連用形 |
て | 接続助詞 |
尽きせ | カ行下二段活用動詞「尽く」+サ行変格活用「す」(なくなる)未然形 |
ぬ | 打消の助動詞「ず」連体形 |
もの | 名詞 |
なれ | 断定の助動詞「なり」已然形 |
ど、 | 接続助詞 |
【訳】身分の高い人、低い人の住まいは、代々時が経ってもなくならないものであるけれども、
これをまことかと尋ぬれば、昔ありし家はまれなり。
語句 | 意味 |
これ | 代名詞 |
を | 格助詞 |
まこと | 名詞(真実、本当) |
か | 係助詞 |
と | 格助詞 |
尋ぬれ | ナ行下二段活用動詞「尋ぬ」(調べて明らかにする)已然形 |
ば、 | 接続助詞 |
昔 | 名詞 |
あり | ラ行変格活用「あり」連用形 |
し | 過去の助動詞「き」連体形 |
家 | 名詞 |
は | 係助詞 |
まれなり。 | ナリ活用の形容動詞「まれなり」(滅多にない)終止形 |
【訳】これを本当かと調べたところ、昔あった家は滅多にない。

人々は、都に競い合うように立派な家を建てます。
「何代も残るようにと願っているが、本当に何代も残るのだろうか?」と調べてみると、昔あった家はほとんど残っていなかったということでした。
あるいは去年焼けて今年作れり。
語句 | 意味 |
あるいは | ラ行変格活用動詞「あり」連体形+副助詞「い」+係助詞「は」(あるものは) |
去年 | 名詞 |
焼け | カ行下二段活用動詞「焼く」連用形 |
て | 接続助詞 |
今年 | 名詞 |
作れ | ラ行四段活用動詞「作る」已然形 |
り。 | 存続の助動詞「り」終止形 |
【訳】あるものは去年焼けて、今年(新たに)作った。
あるいは大家滅びて小家となる。
語句 | 意味 |
あるいは | ラ行変格活用動詞「あり」連体形+副助詞「い」+係助詞「は」(あるものは) |
大家 | 名詞(大きな家) |
滅び | バ行上二段活用動詞「滅ぶ」(なくなる)連用形 |
て | 接続助詞 |
小家 | 名詞(小さな家) |
と | 格助詞 |
なる。 | ラ行四段活用動詞「なる」終止形 |
【訳】あるものは大きな家がなくなり小さな家となる。
住む人もこれに同じ。
語句 | 意味 |
住む | マ行四段活用動詞「住む」連体形 |
人 | 名詞 |
も | 係助詞 |
これ | 代名詞 |
に | 格助詞 |
同じ。 | シク活用の形容詞「同じ」終止形 |
【訳】住む人もこれと同じだ。

火災にあって、家を建て替えたという話です。
もともとは大きな家だったけど、小さく粗末な家になってしまったと言っています。
所も変はらず、人も多かれど、いにしへ見し人は、二、三十人がうちに、わづかに一人、二人なり。
語句 | 意味 |
所 | 名詞 |
も | 係助詞 |
変はら | ラ行四段活用動詞「変はる」未然形 |
ず、 | 打消の助動詞「ず」の連用形 |
人 | 名詞 |
も | 係助詞 |
多かれ | ク活用の形容詞「多し」已然形 |
ど、 | 接続助詞 |
いにしへ | 名詞(以前、昔) |
見 | マ行上一段活用動詞「見る」連用形 |
し | 過去の助動詞「き」連体形 |
人 | 名詞 |
は、 | 係助詞 |
二、三十人 | 名詞 |
が | 格助詞 |
中 | 名詞 |
に、 | 格助詞 |
わづかに | ナリ活用の形容動詞「わづかなり」(わずかだ)連用形 |
一人、二人 | 名詞 |
なり。 | 断定の助動詞「なり」の終止形 |
【訳】場所も変わらず、人も多いけれど、昔見た人は、2、30人のうち、わずかに一人、二人である。

都は相変わらず人が多いけれど、昔知っていた人は多くの人が亡くなっていて、生き残っているのはほんの少しだったということです。
朝に死に、夕べに生まるるならひ、ただ水の泡にぞ似たりける。
語句 | 意味 |
朝 | 名詞 |
に | 格助詞 |
死に、 | ナ行変格活用動詞「死ぬ」連用形 |
夕べ | 名詞(夕暮れ、夕方) |
に | 格助詞 |
生まるる | ラ行下二段活用動詞「生まる」(生まれる)連体形 |
ならひ、 | 名詞(世の常、世の定め) |
ただ | 副詞(実に) |
水 | 名詞 |
の | 格助詞 |
泡 | 名詞 |
に | 格助詞 |
ぞ | 係助詞 結び:ける |
似 | ナ行上一段活用「似る」連用形 |
たり | 存続の助動詞「たり」連用形 |
ける。 | 詠嘆の助動詞「けり」連体形 【係り結び】 |
【訳】朝に死に、夕方に生まれる定めは、実に水の泡に似ていることだ。

人の命もまた、水の泡のように儚いものだと言っているのですね。
知らず、生まれ死ぬる人、いづ方より来たりて、いづ方へか去る。
語句 | 意味 |
知ら | ラ行四段活用動詞「知る」(わかる、理解する)未然形 |
ず、 | 打消の助動詞「ず」の連用形 |
生まれ | ラ行下二段活用動詞「生まる」連用形 |
死ぬる | ナ行変格活用動詞「死ぬ」連体形 |
人、 | 名詞 |
いづかた | 代名詞(どこ) |
より | 格助詞 |
来たり | ラ行四段活用「来たる」(来る)連用形 |
て、 | 接続助詞 |
いづかた | 代名詞 |
へ | 格助詞 |
か | 係助詞 結び:去る |
去る。 | ラ行四段活用「さる」の連体形 【係り結び】 |
【訳】わからない、生まれ死ぬ人は、どこから来て、どこへ去るのか。

ここは「知らず」を最初に持ってくるという、倒置法が用いられています。
本来は「生まれ死ぬる人、いづかたより来たりて、いづかたへか去る(か)知らず。」となります。
また知らず、仮の宿り、誰がためにか心を悩まし、何によりてか目を喜ばしむる。
語句 | 意味 |
また | 接続詞 |
知ら | ラ行四段活用動詞「知る」未然形 |
ず、 | 打消の助動詞「ず」終止形 |
仮 | 名詞 |
の | 格助詞 |
宿り、 | 名詞(住まい) |
誰 | 代名詞 |
が | 格助詞 |
ため | 名詞 |
に | 格助詞 |
か | 係助詞 |
心 | 名詞 |
を | 格助詞 |
悩まし、 | サ行四段活用動詞「悩ます」(悩ませる)連用形 |
何 | 代名詞 |
に | 格助詞 |
より | ラ行四段活用動詞「よる」連用形 |
て | 接続助詞 |
か | 係助詞 結び:しむる |
※何によりてか | どうして |
目 | 名詞 |
を | 格助詞 |
喜ば | バ行四段活用動詞「喜ぶ」(楽しく感じる)未然形 |
しむる。 | 使役の助動詞「しむ」連体形 【係り結び】 |
【訳】またわからない、仮の住まいを誰のために心を悩ませ、どうして目を楽しませるのか。

これはどういうことでしょうか?

長明の考えるこの世は、儚いものであり、仮の場所なのです。
いつ終わりが来るかわからないのに、誰かのために悩んだり、自分を一時的に楽しませたりすることに何の意味があるのか?と言っています。

なんだか、切ない考え方ですね…
その、あるじと栖と無常を争ふさま、いはば朝顔の露に異ならず。
語句 | 意味 |
そ | 代名詞 |
の、 | 格助詞 |
あるじ | 名詞(主人) |
と | 格助詞 |
栖 | 名詞 |
と、 | 格助詞 |
無常 | 名詞(仏教語。全てのものは生まれ滅び、絶えず変化していて永久に変わらないものはないということ) |
を | 格助詞 |
争ふ | ハ行四段活用動詞「争ふ」(争う、張り合う)連体形 |
さま、 | 名詞(様子) |
いはば | 連語ハ行四段活用動詞「いふ」の未然形「いは」+接続助詞「ば」(言うならば) |
朝顔 | 名詞 |
の | 格助詞 |
露 | 名詞 |
に | 格助詞 |
異なら | ナリ活用の形容動詞「異なり」(違っている)未然形 |
ず。 | 打消の助動詞「ず」の終止形 |
【訳】その主人と住居が無常を争う様子は、言うならば朝顔の露と違わない。

家とそこに住む主人が無常であることを競うかのように、滅んでいくようだ言っています。
それを、朝顔の花とその上に乗った露に例えた内容が続きます。
花=栖、露=あるじを表していることをおさえて、次からの文を読んでいきましょう。
あるいは露落ちて花残れり。
語句 | 意味 |
あるいは | ラ行変格活用動詞「あり」連体形+副助詞「い」+係助詞「は」(あるものは) |
露 | 名詞 |
落ち | タ行上二段活用動詞「落つ」連用形 |
て | 接続助詞 |
花 | 名詞 |
残れ | ラ行四段活用動詞「残る」已然形 |
り。 | 存続の助動詞「り」終止形 |
【訳】ある場合には露が先に落ちて花が残っている。

これは家の主人が亡くなり、家だけが残ってしまうということですね。
残るといへども朝日に枯れぬ。
語句 | 意味 |
残る | ラ行四段活用動詞「残る」終止形 |
と | 格助詞 |
いへども | 接続助詞(~と言っても) |
朝日 | 名詞 |
に | 格助詞 |
枯れ | ラ行下二段活用動詞「枯る」(枯れる)連用形 |
ぬ。 | 完了の助動詞「ぬ」の終止形 |
【訳】(花は)残ると言っても朝日に(照らされて)枯れてしまう。

朝顔の花が残ったとしても、朝になればしぼんでしまうということですね。
あるいは花しぼみて露なほ消えず。
語句 | 意味 |
あるいは | ラ行変格活用動詞「あり」連体形+副助詞「い」+係助詞「は」(あるものは) |
花 | 名詞 |
しぼみ | マ行四段活用動詞「しぼむ」連用形 |
て | 接続助詞 |
露 | 名詞 |
なほ | 副詞(やはり) |
消え | ヤ行下二段活用動詞「消ゆ」未然形 |
ず。 | 打消の助動詞「ず」終止形 |
【訳】あるものは花がしぼんで露はやはり消えない。
消えずといへども夕べを待つことなし。
語句 | 意味 |
消え | ヤ行下二段活用動詞「消ゆ」未然形 |
ず | 打消の助動詞「ず」終止形 |
と | 格助詞 |
いへども | 接続助詞(~と言っても) |
夕べ | 名詞(夕方) |
を | 格助詞 |
待つ | タ行四段活用動詞「待つ」連体形 |
こと | 名詞 |
なし。 | ク活用の形容詞「なし」終止形 |
【訳】(露は)消えないと言っても夕方を待つことはない。

家の主人と住まいは、どちらかが先に滅びたとしても、残された方もすぐに滅びてしまうと言っています。

とても儚い考えですね。
鴨長明は、なぜこんな切ない考え方をするのでしょうか?
兼好法師の「無常観」とは違う気がします。

それを紐解くために、鴨長明の生い立ちから見ていきましょう。
鴨長明の生い立ち
長明は、1155年頃に下鴨神社の神官の家に生まれた。
下鴨神社は格式高い神社です。
長明は、セレブなお坊ちゃまだったのです。
しかし、長明が18歳の時に父が亡くなったことで、転機を迎えます。
その時、跡目争いに敗れて神社を継ぐこともできず、後ろ盾を失った長明は、落ちぶれていきます。
そもそも長明は和歌に夢中で、神社の仕事をしていなかったのです。
その後、仕事もせずに琵琶にも夢中になって、かなりの腕前になっていました。
47歳の時に『新古今和歌集』の寄人に抜擢されます。
その仕事に打ち込んだことで、本業でのオファーが舞い込みました。
後鳥羽上皇によって、「河合神社の禰宜職」に推薦されます。
しかし、下鴨神社の禰宜だった鴨祐兼の猛反対にあい、結局その職は祐兼の息子に奪われてしまいます。
すべてが嫌になった長明は、寄人の仕事も全うせずに辞めてしまい、50歳で出家。
最終的には日野山に「方丈庵」を作り、一人で自由気ままに過ごしました。
その「方丈庵」で書かれたのが、『方丈記」というわけです。
そこにもつづられていますが、長明が生きた時代は激動の時代でした。
大地震や飢饉の様子なども細かく描写されていて、歴史的にも貴重な資料となっています。
都で発生した大火事。一般家屋の1/3が消失したとされている。1180年 治承の竜巻
都で突然竜巻が発生し、家がつぶれて柱だけになったりした。同年 福原京遷都
平安京では遷都にあたり建物は解体された。
しかし福原京は建築に向いていない土地で、新しい都はいつまでたっても完成せず、平安京は荒れていくばかりだった。1181年 養和の飢饉
大風や洪水などの天災によって食糧が確保できずに起きた飢饉によって、多数の死者が出た。
1185年 元暦の地震
「おびただしく大地震ふること侍りき。そのさまよのつねならず。山はくづれて河を埋み、海は傾きて陸をひたせり。土裂けて水湧き出で、巌割れて谷にまろび入る。」(『方丈記』より)
大きな地震が都を襲った。
これらのことを経験し、「永遠などない」という実感からの無常観が、長明の無常観の特徴と言えます。
鴨長明と兼好法師の無常観の違い
「無常観」と言えば、兼好法師を思い浮かべる人もいるかと思います。
こちらも仏教の教えである「無常観」という点では同じです。
兼好法師は「思想」という印象が強い気がします。
兼好法師は、鴨長明が経験したようなことが落ち着いてからの時代を生きた人です。
財産だけでなく人の命までもが、あっという間に奪われてしまうという経験をすることで「俗世に執着しても仕方ない」と感じた長明とは違いますよね。
鴨長明の考え方は「切ない」と感じるかもしれませんが、いつ滅びるかわからないからこそ周りを気にしたりするのではなく、今あるものや自分自身にしっかりと目を向けて生きて行こうと言うメッセージでもあるのではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は方丈記より「ゆく河の流れ」を解説しました。
鴨長明の「無常観」には、激動の時代を経験したことによる実感が込められていました。
長明が住んでいた方丈庵は、気に入らなければいつでも引っ越せる、簡素な住まいです。
そこで人と比べず、自分のために生きていきながら「方丈記」をまとめていったのです。
たくさんの不安事がうずまく現代の私たちにも、長明の考えに学ぶところはあるのではないでしょうか。
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