夏休みは、点数のための勉強ではなく、「物語として“読む”」時間にぴったりです。
今回は、古文が苦手でも楽しめる、読みやすさ・おもしろさ・短さを重視した3つの作品を紹介します。
- 古文は苦手だけど、話の内容は面白いから古典作品を楽しみたい
- 古文が苦手だから、この機会に古典作品に慣れておきたい
という方にとっては、「読書の楽しさ」と「古文の勉強」という一石二鳥の時間が得られるのではないでしょうか。
古文が苦手な人が夏休みに読みたい古典作品 3選
では、オススメしたい作品を紹介していきましょう。
各作品の特徴はもちろん、その作品をどのように楽しみたいかで選べるようにそれぞれ3冊の本を紹介しています。
好みの作品、一冊を見つけてみてください!
1.宇治拾遺物語
宇治拾遺物語には、「児のそら寝」や「絵仏師良秀」などという、教科書でもなじみのある話があります。
また、「舌切り雀」や「わらしべ長者」など現代の昔話として知られる話も入っています。
登場人物も歴史的に有名な人から、庶民まで様々です。
クスっと笑えるお話や、信仰に関するお話など多岐に渡るので読んでいても楽しいです。
全ての話ではありませんが、「宇治拾遺物語」を味わえるお話がピックアップされています。
著者の方の解説が面白くて、全編を読みたくなるような一冊となっています。
②『宇治拾遺物語 全訳注 合本版』(講談社学術文庫)
こちらは、上下巻の全編がまとまっているのでお値段が張りますが…
「ビギナーズ・クラシックス」で『宇治拾遺物語』にハマり、「ガッツリ読むぞ!」となった方に挑戦していただきたいです。
本文、現代語訳、言葉の注釈がついているので、辞書がなくても読み進められます。
町田康さんの訳が、とても面白いです。
町田さんは、元ミュージシャンという経歴をお持ちの小説家です。
「トップクラス」「フツーに読んでますよ」「ぶへえ」などと言う表現もあり、古典作品を読んでるとは思えないくらい楽しめます。
町田さんの文章が好きな方にはもちろんですが、古典を現代作品のように楽しみたい方にオススメです。
2.枕草子
続いては、清少納言の『枕草子』です。
「春はあけぼの~」という、有名な一節で始まる作品です。
「ものづくし」と呼ばれる「類聚的章段」、日常生活や自然について書かれた「随想的章段」、そして中宮定子に仕えた宮中での生活について書かれた「日記的章段」があります。
個人的には、「ものづくし」だけを読んでも十分楽しめると思います。
清少納言の着眼点や、ものの見方がわかるので。
①『枕草子 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典』(角川ソフィア文庫)
これはもう「お約束」として紹介させてください。
まず、迷ったらコレ!です。
本文が載っていませんが、現代作品のように『枕草子』を楽しみたい方に読んでいただきたい一冊です。
各章段ごとに、本文・現代語訳・解説がついています。
訳は、島内裕子さんです。
授業でやるような、かたい現代語訳にはなっていませんが読み応えのある内容になっています。
「清少納言ってこんな人だったんだぁ~」と味わいたい方へ。
私はとても好きで、定期的に読み返しています。
小迎さんの絵が良い味を出していて、良いです。
3.落窪物語
この作品は、「勉強というよりも、内容を読むために古文に立ち向かってほしい!」という私の願いを込めて紹介させていただきます。
『落窪物語』とは、落ち窪んだ部屋に住まわされ、継母にいじめられている姫君の物語です。
頼もしい侍女に支えられながら、日々を過ごす姫君。
左近少将道頼という男性が、姫君のために頑張ってくれてドキドキ…
それを阻止しようとする継母にイライラ…
道頼に対する姫君の態度にヤキモキ…
など、コッテコテの展開を楽しめる作品だと思います。
①『落窪物語』(岩波文庫)
これが読めたら、もう古文は苦手ではありません!
本文と注釈のみです。
現代語訳はご自身で…という、高難易度の一冊となっています。
恥ずかしながら、私もまだ読み切れていません…
なので、マンガで内容を把握しました。
②『新版 落窪物語 上下巻セット』(角川ソフィア文庫)
こちらは本文・語句解説・現代語訳がついた、「勉強」に向いている内容となっています。
「①だとしんどいな~、でも古文としてしっかり読もう」という方に、読んでいただきたいです。
内容を理解するために、立ち向かってみてください!
③『マンガ日本の古典2-落窪物語ー』(中公文庫)
「内容だけ読んでみたいな」という方は、こちらを読んでみてください。
マンガで読んでみて、原文だとどのように表現されているのかを読んでみるというのも面白いと思老います。
番外編
これは古典作品ではありませんが、私が古典作品を読んでいてついポチってしまった本です。
- 「古典の世界観を自分で描けたらな~」と、創作意欲が湧いた方
- 「平安時代の人たちってどんな服を着ていたのか、もっとよく見たい!」と思った方
にオススメしたい本です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は「古文が苦手な人が夏休みに読みたい古典作品 3選」という内容で、お話してきました。
夏は、点を取るためではなく、「古文って意外と面白い」と思えるチャンスの時期です。
まずは、短くて分かりやすい話から読んでみましょう。
全てを読み切る必要はありません。
3.『落窪物語』は順番通りに読んで、できるなら読み切った方が内容は理解できますが、それ以外の作品はどれから読み始めても、どれかだけ読んでも楽しめます。
読めば読むほど、昔の人の考えや価値観が少しずつわかってきます。
古文に触れれば触れるほど、言い回しにも慣れてきます。
この夏、「古文に対する拒否反応」をなくす時間を過ごしてみませんか?
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